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決勝戦レポート
8月末、台風直下の東京は豪雨に見舞われたが、それでもなお会場のなかのZERO小ホールには500人弱の観客が集まった。発売からわずか数分で売り切れてしまうプラチナチケットを手に入れた観客たちは大学生が多く、みな新王者の誕生を見届けようと集まっていた。
16時、会場が暗くなると大会のオープニング映像が流れる。予選や準決勝に出場した様々な学生芸人たちが舞台で輝く姿や彼らの真剣な眼差し、ユニット名を呼ばれてガッツポーズで舞台へ上がる様子などを映した熱量の高いVTRが終わると、観客からは自然と拍手が沸き起こった。
続いて、今年で6回目の決勝戦MCを務めるさすらいラビ―の2人が登場。彼ら自身も大学お笑い出身者として当時の大学芸会に出場していたが、「第1回の出場芸人は80組ほどだった」とのこと。観客の笑いを誘いつつ、今年の決勝戦進出者たちのレベルの高さを強調した。
大会の概要説明の後には決勝戦の審査員が紹介された。審査員は、大学お笑い出身で現在は構成作家として活躍する飯塚大悟氏、お笑いライブ制作団体K-PROの代表者を務める児島気奈氏、そしてM-1グランプリで過去3度決勝戦に進出した吉本興業所属の芸人、POISON GIRL BANDの吉田大吾氏の3人だ。
本大会は、審査員3人が各組に対し100点満点で審査を行ったうえで、客席投票による得票数が点数として加算され、その合計により結果が決まる。1st Stageは前半と後半に分かれており、観客は1st Stageの18組のなかで面白かった3組に投票。獲得点数の高かった上位3組がFinal Stageに進出し、再び審査員の点数と客席投票によって優勝者が決定する仕組みとなっている。
各組のネタ時間は4分。客席の緊張感が高まるなか、さすらいラビ―宇野氏の「年に一度の大お祭り、大いに楽しんでください!」という言葉とともに戦いの火蓋が切られた。
1st Stage ネタ(前半)
①伊藤真剣ピーナツ(慶應義塾大学お笑い道場O-keis)
コント「カルト宗教」
トップバッターを飾るのは4年生ピンの伊藤真剣ピーナツ。演台のみが置かれた舞台に現れると、宗教団体の説明会よろしくスピーチを始める。徐々にタネが明かされ始めると、セリフを一つ放つごとに客席の笑い声が大きくなっていく。
後半は拍手笑いも連発し、1組目とは思えないほど客席の雰囲気をがっちりと掴んだ。
②オスメス(日本大学経商法落語研究会)
コント「ロッカー」
経商法の4年生トリオ、オスメスが2組目に登場。教室のセットに財閥のみが登場し、次の展開に観客の期待値が高まった矢先、ルキとカツラギの登場によって会場全体が揺れるようにウケる。その後も2人の強烈なキャラクターと財閥の痒いところに手が届くツッコミで、勢いを止めることなく爆笑を取り続けた。
③ピ夜(同志社大学喜劇研究会)
漫才「好きな指」
続く3組目は4年生男女コンビのピ夜。「どうも〜」とゆったりとした口調でサンパチマイクの前に立つと、間合いたっぷりのツカミで客席全体の雰囲気をガラッと変える。2人の絶妙な駆け引きとイワサキの照れツッコミがじわじわと会場を笑いで包み、ピ夜の世界に引き込んだ。
④ストロングブルジュニア(早稲田大学お笑い工房LUDO)
漫才「花屋」
4組目には同じく4年生漫才コンビのストロングブルジュニアが登場した。ツカミで佐々木が優里『ドライフラワー』を歌いだしたかと思うと、まさかの替え歌に会場はいきなり大ウケ。佐々木のキモキャラと丸山の大声ツッコミが最大限に生かされたコント漫才で、ネタ後半は全てのボケで拍手笑いをとる圧巻のウケっぷりだった。
⑤ヒーローズ(大阪教育大学お笑いサークルシャイニングレア)
コント「怪盗X」
本日2組目の関西勢は、2年生にして大学芸会決勝戦に進出したヒーローズ。「お宝をいただきに参上する」という台詞が丁寧なフリとなり、怪盗Xがとある姿で舞台袖から現れた瞬間に会場は拍手笑いに包まれた。観客の心をがっちりと掴んだ2人は、出オチにとどまらずその後も袖から現れるたびに大ウケをさらい、暗転後も後引く笑いを舞台上に残した。
⑥風呂釜くん(立正大学お笑い研究会マスカット)
漫談「母親とのショートメッセージ」
続く6組目には3年生ピンの風呂釜くんが登場。マイクの前に一人立って淡々と「母親とのショートメッセージでエロ漫画のタイトルを誤爆した話」を語る姿には潔さすら感じられた。ワードの一つひとつに鋭いセンスが光り、いつの間にか彼の語りに集中して耳を傾ける観客からは繰り返し拍手笑いが起こっていた。
⑦ピエール滝登り(中央大学お笑いサークルCOP)
コント「食教育」
続いて7組目も3年生ピンのピエール滝登りだ。教師に扮して話し始めた彼は、フリップとともにおにぎりの作り方を力説し始める。性教育のあるあるをベースとした語り口とフリップは次々に畳みかけ、観客を休ませることなく笑わせ続けた。
⑧スメタナ(明治大学お笑いサークル木曜会Z)
漫才「ゴキブリ駆除業者」
8組目には4年生の漫才コンビ、スメタナが登場。ゴキブリにおびえるツッコミのたまのために清水が駆除業者として助けに入るコント漫才を披露。清水の狂気的かつ強烈なボケワードがテンポよく繰り出されるたびに客席は爆笑に包まれ、たまの気弱ツッコミとあいまってスメタナにしかできない完成された笑いを生み出した。
⑨マボロシ(専修大学落語研究会お笑い企画STRIPGUNCLUB)
漫才「卒乳」
1st Stage前半のトリは、4年生漫才コンビのマボロシ。鉄のウザキャラと堀元のパワフルなツッコミによる完成された掛け合いが、会場全体をマボロシの空気感で支配する。ネタ後半では拍手笑いがほとんどやむことなく、今日のトップウケを軽々と更新する2人には貫録すら感じられた。
1st Stageの後半9組のネタとFinal Stage、そして結果発表の様子は『大学芸会個人戦2024 決勝戦レポート後編』にてお届け!